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崩れる通信

「崩れる本棚」創作コンテンツ用のブログです。

崩れる通信 No.29

皆様こんにちは。

一ヶ月ぶりの、崩れる通信の更新でございます。

来月より、小説の掲載を考えております。

ムチャクチャな小説をお待ちしております。

本日の更新分。

秋月千津子『文具語り』第8回。

新連載、千本松『ピエロに疑問符並べて』第1回。

千本松さんは、詩人です。

そして、おなじみの人です。

さあ。

アマゾンの誘惑にそれとなく負けた今年度の修辞悪魔にクリアランスモーテルすこるといい先方の勇み肩肘を揺らぐ数枚のカーテン。

お楽しみに。

文具語り

第8回

秋月千津子

皆様お久しぶりです。先月、先々月とお休みをいただきまして、かなり久々の文具語りとなってしまいました。月イチの連載なので、お休みするとものすごく長く間があいてしまいますね。年度が変わりましたので、気持ちも新たに「休まない」を今年度の目標として頑張っていこうと思います(笑)

さぁそんな新年度に取り上げる文房具はプラチナ万年筆が生んだ万年筆革命商品「プレピー」です。2007年に登場したこちらの商品は大ヒット商品となったので見たことがある人も多いと思います。キティちゃんとのコラボ商品が生まれていることからも分かるように、若者や女性に愛用者が多いようです。万年筆でありながら216円という価格設定と、カラーバリエーションが豊富な点で支持されているのだと思います。

この価格帯の万年筆というと、従来は使い捨てのものしかありませんでした。でもプレピーは違います。カートリッジ式で繰り返し使うことができます。また、万年筆らしい滑らかな書き味を実現しているのもさすがプラチナ万年筆ですね。ペン先はステンレス製なのでどうしても硬い書き味になってしまうところを、極薄く仕上げることによってしなやかな書き心地を生んでいます。軸がプラスチックなので持った時に軽すぎたり安っぽさがあるのは否めないですが、書き味だけで言えばプレピーは数千円する万年筆に引けを取らないと思います。

この商品において特筆すべきは何といってもキャップだと思います。乾燥という弱点に対抗すべく気密性の高いキャップを開発し、「1年放置した後でも滑らかに書きだせる」と公式サイトで堂々と言い切っているのです。事実、私が何本も買って放置していたプレピーも、一年近い放置のあと問題なく書けました。安かろう悪かろうではなく、「万年筆」として愛用してもらえる商品作りには脱帽です。

ペン先はF(細字)とM(中字)があり、Fが0.3mm、Mが0.5mmということですが、実際書いてみるともうちょっと太い印象でした。現在は0.2mmの極細というのが324円で売り出されているようです。細いペンが好みの方はこちらを試してみてはいかがでしょうか。

万年筆とセットで購入してもらいたいもの……それは「万年筆用ノート」です。スラスラの書き味は、ペンだけではなく紙との相性で決まるもの。書きやすいノートがあれば万年筆で書くのがますます楽しくなります。

マルマンの「ボストンノート」が個人的には大好きなのですが、少しお高めです。ナガサワ文具センターのオリジナル商品「LITERO」も気になるところですが、やはりお値段が張ります。ということで、今回は低価格帯のプレピーに合わせ、気軽に買える「リスシオ・ワン」をおすすめします。A5薄型ノートは324円とお手頃価格です。お試しで買ってみて、万年筆専用紙の気持ちよさを是非味わってみて下さいね。

秋月千津子

個人サークル「深海の記憶」で活動中のインディーズ小説家。

Twitter:@akizuki_chizuko

ピエロに疑問符並べて

第1回 死ねばわかる

千本松

法律は実存で出来ているのか

人間世界を襲った災いに

なんとか歯止めをかけるべく

現状に軌道修正を施し

皆を救おうとする刹那の善意を

永久不滅のものにしようと

努めた結果が法律なのか

そして、それを作り出した源は

他ならぬ犠牲者たちの命の輝きだろうか

1Kの腰高窓の前に

キャスターつきの

大きな物干し台が置かれている

そこに、路地を縫った先の銭湯の横の

コインランドリーで洗って乾かした

シャツ、下着、靴下、タオル、外出着やらを

どっさりハンガーで吊るす

その閉塞感といったら半端ない

7月初めのラスコーリニコフ

7月1日の長崎・駿君も

7月2日の金閣寺

6月30日の私も独り

下水のヘドロ臭が漂う万年床に

病に気づいていない身体で

平日の真昼に横臥する

大学には、もう行かない

アルバイトも辞めた

女から返信もない

飯も美味しくない

風呂にも入ってない

西神田の大学では

老荘思想を学んだだけだ

老子は街中で揉まれ

荘子は山に籠もり

私はと言えば

街中で籠もっているわけだ

いっそ、山で揉まれたい

この命

燃え尽きたら

150億年の歴史を、秘密を

なにもかも知ることになる

法律の入り組んだ構造を

すり抜けて

幾重もの事実を

ミルフィーユに

かぶりつくかの如く

口いっぱいで

真実まで味わう

死ねばわかる

いつか

死ねば

7月1日まで

あと0秒

(了)

千本松(せんぼんまつ)

メルキド出版の弟。

twitter:@yuiyumi48