崩れる通信

「崩れる本棚」創作コンテンツ用のブログです。

崩れる通信 No.32

深々と降る雪のように。

わたしたちの言葉が、みんなに届けばいいな。

崩れる通信です。

一作目、千本松『ピエロに疑問符並べて』「第2回 通夜」。

二作目、秋月千津子『文具語り』第9回、梅雨を乗り切れ! 耐水文具特集。

三作目、Pさん『とこしなえにゆるいや さrd』。

誤変換ではありません。

とこしなえに楽しめや。

ピエロに疑問符並べて

第2回 通夜

千本松

天国はブラックホールの中にある

そう彼は

私と母、伯母、従兄弟、その次男の前で

ゆっくりと言った

狭い額、林檎のような頬、

団栗眼、低い鼻梁に幅広の小鼻、

突き出した耳、かさついた真っ赤な唇

生気に満ちた彼は中学生だろうか

ブラックホールの中では時が止まる

ディストーションにやられ全ては消滅する

光さえ消えるわけだ

そこに天国がある

そうだ、きっとある

私は彼を信じた

いつか科学的に

天国の存在が証明されるだろう

千本松(せんぼんまつ)

メルキド出版の弟。

twitter:@yuiyumi48

文具語り

第9回

秋月千津子

こんにちは。先日、美容室に行って、縮毛矯正をかけてきました。もうちょっとすると、髪が湿気で広がったりうねったりするあの季節…梅雨がやってくるからです! ということで、今回は、梅雨に負けない! 耐水性の文具について語っていきたいと思います。

まずは耐水性の紙を使ったノート・メモについて。定番はオキナの耐水ノートだと思います。

http://www.okina.co.jp/products/notebook/pw_a.html

公式ホームページで「水中など過酷な条件でも十分役立ちます」と堂々と公言しているだけあって、すごい耐水性です。水濡れへの強さに加え、破れにくいので、それも魅力です。

オキナから出ている耐水メモは、もう一種類あります。

http://www.okina.co.jp/products/notebook/pw_sp.html

先程の耐水ノートがポリプロピレン製なのに対し、こちらのメモは石を主原料とするストーンペーパーで作られています。石油原料のポリプロピレンと比べて、より環境に優しい素材です。お値段的にもポリプロピレン製よりは少しお安くなっています。

そしてなんと現在、100円ショップのダイソーにも、耐水メモと単語帳が売っているようです。100円なのに、メモ帳は用紙80枚、単語帳は60枚×2個セットとたっぷり使えます。素材はストーンペーパーのようですね。

続いて、水に強い筆記具について語っていきましょう。

最強は油性ペン! ……と言いたいところなのですが、実は水に濡れた状態で書くのに最も適した筆記具は、鉛筆・シャーペンだと言われています。これはとても面白いので是非試していただきたいのですが、耐水メモを水中に沈めて、鉛筆で文字を書いてみて下さい。濡れていない環境と変わらない書き味なのでびっくりすると思います。

それから、もう一つおすすめなのは、フィッシャー社のスペースペンです。「宇宙でも書けるペンを」というコンセプトで1968年に開発され、なんと-34℃~+121℃の温度差にも耐えられます。しかも、水中でも書ける、上向きでも書ける、無重力状態においても書ける(実際に宇宙飛行士が使っています!)というすごいペンです。

アメリカに遊びに行った友人がスミソニアンで買ってきてくれたのですが、はじめこの説明を読んだ時は「言い過ぎだろ、嘘つけや!(笑)」と爆笑しましたが、なんとガチでした…。

お高いイメージだったのですが、廉価なものもあるようですね。

http://item.rakuten.co.jp/hikyrm/fisofficepen/

ちなみに私がもらったのはこのタイプです。

http://item.rakuten.co.jp/swallow/f775/

今まで実際に水中で使ったことはなかったのですが、今回の記事を書くにあたり使ってみたら、驚くほどくっきりと文字が書けました。おすすめです。

以上、水に強いメモ・ノートと筆記具のお話でした。梅雨の時期も是非、耐水グッズを使って楽しい文具ライフを!

秋月千津子

個人サークル「深海の記憶」で活動中のインディーズ小説家。

Twitter:@akizuki_chizuko

とこしなえにゆるいや

さrd

Pさん

最新ニュースに関する細々したことに関しては、あれこれと聞かれても、颯っと応えることは出来ない。

アメリカ横断ウルトラクイズでも、福留功男でもないのだから。

日が暮れて、歩行器を押す人の数が増えてきた。もとより関係のないことにいちいち関係を付けるのが私の仕事だ。脳の中にしかない。

イチョウ葉エキス サプリメント

「脳の記銘力を高めます」

認知症予防(脳の西日)」

脳の血管を拡充し、記憶力を高めることを謳う、ほんまもんの実在のサプリである。フィクションではない。

夏至を過ぎれば、日が暮れるのが早くなる。空白の時間をどう過ごすのか、そもそも空白なんてものがあるのかどうか、有があるとか、ある程度充溢する空間があると仮定するから、空白が生まれるのである。

レシートの裏には何も書かれていなかった。なんでライターの石なのか。なんで、ライターの着火装置を石と呼ぶのか。

プルプルの、いや、その話はあとだ。

面白い話を話してると思っている男が話す。

「それで、爪楊枝が剣山。あたかも剣山。けけ。

バッグの肩掛けのところが皮膚に食い込んでるから、一旦直す奴。

スーパーのレジで、一見行列に見えるけど、よく見ると主婦然としてない男たちの行列で、持ってるのも日本酒の瓶とかコーヒー缶とかちょっとした総菜パンしかなくてね?

すかさず並んだ。バリ島……」

ギャルっぽい女が、車道側に少し出たところで、スマートフォンを閉じながら、張りつめた顔で、叫んだ。

「ふざけんじゃねー、全く」

実際には、ガラパゴス・ケータイでもないのだから、その「閉じる」作業は、そのソフトウェア内で、仮想的に行われる。私はラジオの方を聞く。

昨日の池袋での話だ。

次々に歩いてくる。暗闇は自然と訪れて、眩暈みたいに周囲を暗くしていく。

大したスピーカー効果もなく、そうそう、スピーカーと各種音響装置を、そのまま、過去のラジオとスピーカーとの関係のように、レコードの繊細な針のように、直接的な、情報と力の拡充装置のようにイメージすることは、現代において、可能なのだろうか。

映画において、だんだんと黒い溝つきの盤面に近づき、スーッと表面に触れる、視えない針……。

線路と直交するのだから、今進んでいる道は、北から南に、垂直に降りていっているはずである。

歩行器で歩く人々の姿が、巧妙に電信柱を避ける。電信柱には、「文」という緑の鉄板が歪められて張り付けてある。教育機関と割礼の関係などについては、直接的に書くべきではなく、読者にお任せするべき想像内の事態である。

帰りにアイスでも買おうかな、連日暑い日が続くし。

FMDJの軽快トークがそれに続く。

帰ってから、レシートの裏になにやら書き付けていた。